フードランナー(Food runner)の仕事
今日は、私も経験しているフードランナー(Food runner)の仕事について、ちょっと書いてみたいと思います。
フードランナーはその名前の通り、シェフが作った料理をお客さんのテーブルまで運ぶのが主な仕事で、キッチンとフロアを行ったり来たりします。常にフロアにいるわけではないので、お客さんのテーブルを担当をしたり、注文を取ったり、会計したりなどは基本的にしません。
レストランでのウェイトスタッフの仕事は、忙しい時間帯や常に忙しいレストランでの仕事は全て分業されて行われます。
フードランナーがどういう位置にいるのか、中規模なカジュアルのレストランで一番忙しい時間帯を想定して例をあげてみると、、、。
まず、ホゥスト(Host)がお客さんをレストランに呼び込みます。観光地などではよくメニューを持ってレストランの入り口付近で客引きをしている人を見かけると思いますが、その人をホゥストといいます。ホゥストはお客さんを呼び入れるのが主な仕事で、メニューの説明をしたり、席まで案内したりもします。
次に、お客さんが席に着くと、そのテーブルを担当しているオーダーテーカー(Order taker)が、お客さんの注文が決まった頃をみて、ハンドヘルド(handheld)と呼ばれている小型の専用端末機を使って注文を取り、テーブルの番号も含めそのデータをポスシステム(POS system)に送ります。
キッチンとバーでは、設置されているプリンターから注文が出力され、その伝票を見てシェフやバースタッフが注文通りの料理や飲み物を次々と作っていきます。
ここでフードランナーの出番になります。出来た料理をテーブルまで運びます。飲み物はドリンクランナーが運びます。ドリンクランナーはトレーを使うのですが、フードランナーは自分の腕と手を使って料理を運びます。腕筋が鍛えられる仕事で、体力がない人、持久力がない人、動作が遅い人はかなりきつく感じると思います。
お皿の持ち方はHow To Carry Plates、もしくは、知識として頭に入れておきたいことのページにある"お皿の持ち方"を参考に。
フードランナーは、通常パス(pass)の前で待機し料理が出来上がるのを待ちますが、料理ができるまで時間があるような場合には、ドリンクランナーの仕事もヘルプで行ったり、お客さんから小皿、ソース、レモンなどの特別な注文があればそういうものも運んだり、テーブルのセットアップ、お客さんの食べ終わったお皿やグラスを下げたり、お客さんが使うナイフやフォークなどのカトリーを磨いたり、掃除したりもします。
料理が出来上がるとシェフが"Food up"、"Food away"などと叫んで呼ぶか、呼び鈴を鳴らして知らせますから、すぐにキッチンへ戻ります。お客さんの注文した料理と合っているか、メニュー通りの料理になっているか、テーブル番号などをオーダー表を見て確認します。OKだったらそのテーブルまで料理を運びます。
最も忙しくなる時間にはこの確認作業だけを専用にするスタッフがいて、フードランナーはこのスタッフから渡された料理を黙々とお客さんのテーブルまで運ぶことになります。
この確認作業は非常に大事です。というのも、お客さんからの特別な注文(~の代わりに~、~抜きで、エクストラ~、、、などなど。)がけっこうあるし、お客さんの好みに合わせて選べるもの(ステーキの焼き加減、ソース、ドレッシングなど。)もあるので、シェフが間違って作ったり、入れ忘れたりすることもしばしば起こります。シェフが新人だったりすると、同じ料理でもいつもとちょっと様子が違うものが出てきたりもします。
それにプラスして、キッチンでは、サラダ、揚げ物、メインなどと分担して作業しているので、同じテーブルの注文なのに、料理が全部そろわないなんてこともまれにありますから、どのテーブルにどの料理を運んだか把握しておかなければなりません。
また、フードランナーがフロアに出て料理を運んでいる時や運び終わった後に、お客さんから呼ばれたりするときがあります。お客さんからの要望にもよるのですが、臨機応変に対応しなければなりません。そうでないと、次々に出来上がる料理が運ばれずにキッチンに何分も放置されたままになってしまうのです。
お客さんがテーブルを片付けて欲しい場合は、バッサーやグラシー。クリーナーやグラシーがいない場合はドリンクランナーとフードランナーがこの仕事も兼用で担当しますが、お会計や注文はキャッシャーやオーダーテーカー、苦情は各マネージャーへ、、、などと大概はフロアに常駐している担当のスタッフや手の空いているスタッフにお客さんからの要望に答えてもらえるようにお願いします。
お客さんがフードランナーに何か注文してもハンドヘルドを持っていないので注文は取れません。お客さんのお会計の場合も同じでハンドヘルドからデータを送信し伝票がプリンターから印刷出力されますから、そのテーブル担当をしているオーダーテーカーに伝えることになります。
伝票が印刷されるとキャッシャー(Cashier)がこの伝票を専用のフォルダーに入れます。オーダーテーカーはこれをお客さんに渡し、お客さんから現金、またはクレジットカードを受け取ると、これをキャッシャー(Cashier)に渡し、会計をしてもらいます。オーダーテーカーはレジを担当しませんから、お釣りなどのお金に関することは全てキャッシャーの担当になります。
ここ最近は、クレジットカードでお会計するお客さんはサインよりも暗証番号を入力する人がほとんどです。暗証番号が必要なエフトポスやクレジットカードでお会計するお客さんには直接キャッシャーに行ってお会計を済ませてもらわなければなりませんからテーブルでお会計するお客さんは現金かクレジットカードでサインするお客さんになります。
お会計一つでも、"フードランナー→オーダーテーカー→キャッシャー→オーダーテーカー→お客さん"という流れになり、お客さんを待たせることにもなりかねませんから、フードランナーがお客さんに何か頼まれたら、"ちゃんと対応していますよ"というなんらかの合図が必要になります。
最後に私の経験からですが、フードランナーが気をつけたいことは、、、。
- テーブル番号を間違えないこと。
- お客さんの注文した料理を間違えないこと。
- 料理を運ぶ前にお客さんが注文した内容と合っているか確認すること。
- 料理を出したときにお客さんが不振な顔をしたら必ず確認すること。オーダーテーカーが間違って注文を取ったか、自分が間違ったテーブルに料理を運んでいる可能性があります。
- 料理を全部出し終わったときにお客さんの注文したものが全てそろっているか確かめること。
- テーブル番号が移動していて見つからない、または、間違ったテーブル番号がオーダー表に記載してあってお客さんがどこにいるかすぐ見つからない場合は料理を持って長時間フロアをうろうろしないこと。料理が冷める前にキッチンに一旦戻り、テーブル番号を再確認してから再度料理を運ぶこと。
- 自分が間違ったテーブルに料理を運んでしまった場合はすぐ対処すること。
- 自分が間違ったテーブルに料理を運び、お客さんが注文していない料理なのにそれを食べてしまった場合でも、必ずその料理は回収すること。
- お客さんから苦情があった場合は的確にマネージャーや担当者に伝えること。
- 料理を運んでいる際に、お客さんや他のスタッフとぶつからないようにすること。
- 転ばないこと。
私の思い出に残る失敗は、ラストオーダーでその日の一番最後の料理を運んでいる時に、キッチンで派手に転んで、持っていた料理が全部床に飛び散ってしまったこと。キッチンにいるスタッフ誰もが、これが終わったら家に帰れるゾ!という雰囲気の中、料理の作り直し。
本当に最悪でした。転んだ私を責める人はおらず皆は大笑いで大丈夫かと心配してくれたのですが、皆に本当に申し訳なかったですね~。それ以来かなり気をつけているので一度も転んでいません。( ̄∇ ̄;)
レストランやパブで働くスタッフ
どんなところで働いても、働き始めの初日か、それ以前の面接の時などに、いろんなスタッフとその人の肩書きをマネージャーから紹介されるかと思います。働く人達には様々な役割がありますから、英語での呼び名(肩書き)、その人のポジション、その人の名前を覚えるのが初めの一歩。
参考のために書いておきますが、小さなレストランだと一人で何役もこなさなくてはなりませんが、大きなレストランになればなるほど、役割が細かく分かれていて、自分の与えられる仕事がより明確になる気がします。
- シェフ(Chef)
- シェフ デ クイシン(Chef de cuisine)
- ヘッド シェフ(Head chef)
- ファースト シェフ(First chef)
- シェフ デ パーティー(Chef de partie)
- コミス シェフ(Commis chef)
- デミ シェフ(Demi chef)
- スー シェフ(Sous chef)
- セカンド シェフ(Second chef)
- ベーカー(Baker)
- ペイストリー(Pastry Chef)
- キッチンハンド(Kitchenhand)
- フロアスタッフ(Floor staff) --- ウェイトスタッフやバースタッフの総称
- ウェイトスタッフ(Wait staff)
- バースタッフ(Bar staff)
- バリスタ(Barista)
- ソムリエ(Sommelier)
- フードランナー(Food runner)
- ドリンクランナー(Drink runner)
- キャッシャー(Cashier)
- オーダーテーカー(Order taker)
- ホゥスト(Host)
- グラシー(Glassie)
- バッサー(Busser)
- ゲーミングスタッフ(Gaming staff)
- ティエィビィオペレーター(TAB operator)
- キィノオペレーター(Keno operator)
- マネージャー(Manager)
- フロアマネージャー(Floor manager)
- バーマネージャー(Bar manager)
- ジェネラルネージャー(General Manager)
- デューティマネージャー(Duty Manager)
- スーパーバイザー(Supervisor)
- セキュリティスタッフ(Security staff)
- バンサー(Bouncer)
- セーラー(Cellar)
- ラーダー(Larder)
- クリーナー(Cleaner)
- オフィススタッフ(Office staff)
料理長をヘッドシェフ、副料理長をセカンドシェフと呼ぶのが一般的みたいです。新聞などの求人欄を見ると、 レストランによってシェフの肩書きや呼び方にいろんな種類があるみたいです。ピザシェフとかサラダシェフ、ブレックファーストシェフなんてのもあるようです。
マネージャーもレストランによっていろんな種類があります。
今、思い浮かべてこうして書いてみると、けっこうありますね~。ここで書いていないポジションがもっとありそうです。この国では、ポジションによって資格がないと働けないものがあります。
ちなみに、働いている人の肩書きや役職、年齢など関係なく名前で呼び合うのがここでは普通です。初対面の相手でも、名前は呼び捨てで呼ぶし、 自分も呼び捨てで呼ばれます。覚えるのが難しい名前の人が沢山いてけっこう大変です。逆に、日本人の名前を覚えるのが大変みたいですが、 皆がんばって名前は覚えてくれるものです。
働いている間は、お客さんと接客上の会話はもちろん、ちょっとした雑談なんかもするし、スタッフとも仕事上の会話の他に雑談なんかもしますよね。この他、お店に出入りしている業者さんや、DJ、ミュージシャン、トリビア、ポーカー、ファンクションなどのイベントがあるときにだけ働きに来る人とも会話する機会があります。
いろんな本やHPで店員さんの英会話とか、接客の英会話とかあるんですが、スタッフ同士の英会話っていうのをあまり見かけないので残念ですね。 接客英語はもちろん大事なのですが、スタッフとのコミュニケーションも大事。スタッフ同士の会話が理解できないと、けっこうキツイ。
だけどレストランの仕事は、毎日同じことの繰り返し。
お客さんとの会話は、注文を取るとか、席に案内するとか、数多くあるのですが、ある程度仕事に慣れてくると、お客さんとの英会話マニュアルみたいなものが自然に自分の中で出来上がってきます。スタッフとの会話も同じようにある程度マニュアル化してきます。
オーダーを取るときなど、毎日のように決まりきったフレーズを繰り返し言っていると、すらすらと英語で話せるようになるものです。たまぁに、お客さんから自分の中のマニュアルには載ってない質問をされて、シドロモドロになることがありますが、お客さんの失礼にならないように、マネージャーや他の英語の解るスタッフに助けてもらっています。
私の英語力はまだまだ中級レベル。そんなときは接客上笑顔で乗り切るのですが、、、。英語が理解できなと、けっこうへこむ時があります。上級レベルの英語で接客できるようになりたいワ~。そんなこともあり、このサイトは自分の復習も兼ねて作っているサイトです。